関連者間取引に係る書類の整理保存の特例について

1 事務運営指針が公開されました

令和8年税制改正で新たに創設された「関連者間取引に係る書類の整理保存の特例」について、基本的な考え方及び取り扱いについての指針が2026630日に公開されました。

関連者間取引に係る書類の整理保存の特例の運用に当たっての基本的な考え方及び取扱いについて(事務運営指針)|国税庁

 

2 関連者間取引に係る書類の整理保存の特例とは

2,1 基本的な考え方

法人税法上、取引に関する注文書や契約書等の書類には保存義務がありますが、詳細な内容や計算根拠が乏しいものでは取引の実態解明が困難なことがあり、とりわけグループ内取引においては外部からの実態解明がより困難な状況が生じやすくなります。

 本特例では、内国法人に対し、関連者との間で関連者間取引を行った場合において、受領または作成した書類に必要記載事項がないときはその事項(以下「特定事項」という)を明らかにする書類(以下「特定事項記載書類」という)を取得または作成して整理および保存をしなければならないとしています。

 

2,2 記載の程度

必要記載事項には、関連者間取引の内容を第三者の立場から見て客観的に把握することができる程度の記載が求められています。「一式」等と抽象的に記載されていたものについて、具体的な記載が必要になります。

また、他取引との整合性・妥当性までを見るものではありません。どのようにして算定されたかが分かることに重きが置かれています。

 

記載事項例

工業所有権等に係る関係者間取引

 当該工業所有権等の内容、その範囲、存続期間、利用の内容、

 対価の額および計算方法

役務の提供に係る関連者間取引

費用分担等に係る事業活動

事業活動の内容、実施方法、場所、回数、利益の内容、費用の額の根拠となる計算方法等

経営の管理または指導等に係る役務の提供

役務の具体的内容、頻度、期間、対価の額の計算方法等

その他これらに類する役務の提供

具体的な内容、日時、場所、期間または回数、対価の額の内訳、対価の額の計算方法等

※これらは一例として挙げられているものですべてを記載する必要はありません。

 

2,3 今回の発表のポイント

    損金算入の要件ではない

本特例は損金算入の要件とされているものではないため、特定事項記載書類の保存等が行われていない場合であっても、損金算入が直ちに認められないことになるわけではありません。

 

    実地調査時における対応

特定事項記載書類については親会社が一元管理している場合があるため、調査担当者の求めに応じて遅滞なく入手、提示することができると認められるときには、当該内国法人の納税地等において保存がなされているものとして扱われます。

保存等がないまたは不十分な場合には、取引区分、記載事項、不足の程度が調査担当者より明示され、合理的な期間を定め、特定事項記載書類の取得または作成およびその提示が求められます。

 

    青色申告の承認の取り消しに係る取り扱い

本特例に基づく特定事項記載書類の保存義務を違反した場合には青色申告の承認が取り消される恐れがありますが、義務の履行の成否の判断は上記の実地調査時における対応により、その違反の程度やその他の事情を踏まえ判断されます。青色申告の承認は直ちに取り消されるわけではなく、義務の違反の程度が軽微であると判断された場合には改善指導にとどまる場合があります。

ただし、取り消し処分がなされた後、不服申し立て等の段階で特定事項記載書類を提示したとしても取り消し処分に影響を与えることはできません。

 

    欠損金の繰越控除

本特例の特定事項記載書類の保存状況は欠損金の繰越控除の適用に係る帳簿書類の保存要件にも関係するため、保存等が十分に行われていない場合には、当該繰越控除の適用を受けることはできなくなります。

 

    青色申告法人以外の普通法人等に係る取り扱い

本特例は青色申告法人以外の普通法人等に対しても適用されます。取り消し処分に係る事由に該当する事実があった場合には、当該事業年度にさかのぼってその承認が取り消されることがあるため注意が必要です。

 

3 適用時期

 本特例は令和841日以後に開始する事業年度において行う関連者間取引から適用となりますので、お早めの対応が必要となります。

冨田博之税理士事務所

東京都中央区日本橋室町1−9−10

三忠堂ビル5F

 

TEL:03-3243-2781

(代表/受付時間9時~17時)

 

お気軽にご相談下さい

お問合せはこちらから

当事務所は下記の団体を支援しています。